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Youtube 原稿「不登校(登校困難状態)~その①登校困難状態の経過~」   広島市 心療内科 精神科 中村道彦 投稿日:2020.06.30

以下は、第5回目動画、「不登校(登校困難状態)~その①登校困難状態の経過~」の原稿です。

https://youtu.be/G3F6PUUZZQA

登校困難状態

その1 登校困難状態の経過

皆さんこんにちは。私は、広島市南区の メンタルクリニック ラッコリン院長 中村道彦 といいます。

不登校は、小・中学校の子ども達にとり、看過できない重大な出来事として、近年、教育関係者、心理学・医学の専門家などが、その実態や対策について議論しています。医学の観点では、「不登校」は病名ではありませんが、不登校の背後に、心身の病が隠れていることがあります。ですから不登校を単純に「学校嫌い」と考えるのではなく、不登校の子ども達に医学的な評価が、不可欠であることを忘れてはいけません。

さらに、不登校の子ども達が成長するに伴い、この問題は、高校や大学へ波及しています。そこで、「不登校」という言葉に代えて、「登校困難状態」と呼びたいと思います。登校困難状態に、「登校しぶり」、「不規則登校」、「別室登校」、「不登校または登校拒否」を含みます。

本日は、「登校困難状態 その1」として、経過について、お話します。ここでは経過を、6

段階に分けてみます。

すなわち、

  • 「良い子」の時期
  • 身体化症状発現の時期
  • 登校困難の時期
  • 登校をめぐる親子バトルの時期
  • 親子で新たな道を探し求める時期
  • 安定期

最初の段階は、「良い子」の時期です。自信をもてない子ども達は、ありのままの自分では、親や周囲の人を失望させると思い、見捨てられないように、嫌われないように、と気遣いながら、「良い子」を振る舞っています。学業成績や学校生活で、親たちを失望させないよう、子ども達は努力していますが、進級や進学を考える時期、休みから登校を再開する時期、など、子ども自身の負担や親たちの期待が高まる時期には、それに応えようとする気力が限界に達し、「登校しぶり」に移行します。

2段階は、身体化症状の発現する時期です。登校をストレスに感じても、周囲の期待に応え、登校しなければならない、というジレンマが生まれます。このジレンマが精神的な苦痛だけでなく、主に自律神経を介して、身体的な苦痛に発展することがあります。例えば、頭痛や腹痛、めまいや倦怠感、吐き気や下痢、動悸や息苦しさ、など様々な身体症状が、登校前に現れてきます。小児科や内科を受診し、身体疾患が見つかれば、身体的な治療を優先すべきです。しかし、身体の所見や疾患を認めず、対症的な治療が主になることも、少なくありません。その場合では、医学的に説明のできない身体症状、すなわち身体化の背後に、心理的苦痛を察知する必要があります。しかし、親には、身体症状の心理的側面より、身体的側面の方が受け入れやすく、登校しぶりを身体的な不調と理解する傾向があります。子どもが、身体症状を訴え続ける限り、親子ともに「幻の身体病」が、登校を困難にする原因であると、納得してしまいます。身体症状に目が奪われ、登校しぶりの背後にある心の問題が無視され、登校しぶりが悪化することになります。

3段階は、登校困難の時期です。登校しぶりを押して登校しても、教室にいる時間よりも、保健室や別室にいる時間が増えてきます。教室から離れている安心感と罪悪感がジレンマをますます強めます。別室にいる時間が長くなり、早退や遅刻が増え、教室ではクラスメイトの厳しい視線を感じ、時々欠席をする不規則登校になります。殊に、休み明けに欠席し始め、やがて欠席日数が増え、不登校と判定されます。不登校が長引くと、学力が低下し、クラスメイトと疎遠になり、ますます登校を困難に感じ、登校を拒否するようになります。学校を休めば休むほど、登校困難がますますひどくなる、という悪循環が生まれます。

4段階は、登校をめぐる親子バトルの時期です。登校困難の初期では、子どもの登校をはばむ「幻の身体病」を克服するため、親子は共闘する戦士になります。やがて、身体症状が真の敵ではないと気付き始めると、親は一転して子どもに登校を促し、子どもとバトルが始まります。親が登校を促すことで、親自身の不安を解消したい、という気持ちも隠れており、子どもの嫌気をあおることになります。子どもは「学校に行きたいのにいけない」という表現から、「学校には行きたくない」という主張にかわります。ここで親は登校刺激を断念する場合もありますが、逆に、一層、高圧的になる場合もあります。後者では、親子バトルがエスカレートし、子どもが反抗的、反社会的な行動に発展することもあります。

5段階は、親子で新たな道を探し求める時期です。学校の格付けや世間の目にこだわるのではなく、新たな道を親子で模索しはじめます。子どもが将来に目標をもてない中、新たな道を模索することは難しいのですが、情報収集や施設見学などをしながら、時間をかけて一歩一歩、前進することになります。

6段階は、安定期

です。進路を決め、それに向けて努力する時期です。あるいは、進路が決まらず、模索を続けることになっても、解決を急いで焦る気持ちに翻弄されることなく、安定期を迎えます。

登校困難状態の各段階は、子どもによって一様ではありません。ある段階が欠落することも、順番が前後することもあります。この度の新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、子ども達は長い時間、自宅待機の状態におかれ、その後、登校が再開されました。学校の再開を待ちわびていた子ども達も多いと思いますが、一方で、危惧されたように、登校困難状態が目立つようになった子ども達もいます。子ども達が登校困難状態から、1日でも早く離脱できることを願っています。このため、親は、「見守る」立場を基軸にして、起床時刻を固定して生活リズムを保つ、食生活を規則ただしくして過度の間食をしない、ゲームやSNSなどに熱中しないようにルールを作る、家族間の会話を豊かにする、感染予防に留意しながら、趣味や運動を介して社会活動に参加する、などを配慮してください。

以上です。ご清聴ありがとうございました。


			
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